モカコーヒーとは

高品質なコーヒーとして広く親しまれているアラビカ種コーヒーは、長い間世界中のこだわりのあるカフェで利用され、現在もなお品種改良を繰り返しながら世界中で栽培・生産されています。モカとは、そんなアラビカ種コーヒー発祥の地イエメン・エチオピア周辺地域の在来種コーヒー、という意味合いあります。

*もともとモカとはイエメンにある港の名前で、かつて(15世紀〜18世紀頃)世界中に高品質なコーヒーを輸出して繁栄を極めた港として知られています。

モカを選ぶ理由

パタゴニアの南はモカコーヒーを専門に扱っています。その理由は店主が世界中のコーヒーの中でも比較的ポピュラーなコーヒーの一つであるエチオピア・イルガチェフェが1番好きだから、というだけではもちろんありません。

インターネットの普及で、広く、しかも深く、知識や情報を抽出できるようになりました。しかし膨大な情報はコンピューターで整理・管理すれば問題ないのですが、街の小さなコーヒー屋の店頭で、選択肢・商品が無秩序に多すぎるとお客さんにとって不都合の方が多い気がしています。設備環境の整った焙煎所はいまや日本中の町にあります。 コーヒー豆を求める消費者の目線でコーヒー屋を見ると、テーマを持ち、シンプルだけど深く特化して展開する、という関わり方がお客様も楽しむことができ、理解しやすく、選びやすいのではと考えました。また店側としても品質管理や技術向上のために良い環境である気がします。

焙煎方法

私は長い間キッチンを仕事場として、さまざまな食材に火を入れてきました。食材によって、あるいは料理の仕上がりによって、最適な火の入れ具合があり、また同じ火の入れ具合でも、中華料理のような超高温で短時間なのか低温のオーブンで長時間なのか、 食品に熱を伝える素材は分厚い鉄なのか、それとも薄いステンレスなのか、そのプロセスも様々です。

パタゴニアの南ではコーヒー豆の焙煎を、分厚い鉄と火元の微調整による、「柔らかな火の長時間低温焙煎による中煎り(ミディアムロースト)」を基軸にしています。もちろん同じモカでも驚くほど個性は豊かで、個別で調整をしますが。 コーヒー生豆は焙煎の過程で当然いくつかの化学反応を起こすわけですが、中でも重要視しているのがメイラード反応とカラメル化です。メイラード反応は甘味やコクを引き出し、カラメル化は香ばしさと美しい焼き色で食欲を掻き立てます。 化学変化と同時進行で起こっている重要な現象が水分変化です。火の入れ方で水分は長い時間をかけて少しずつ、あるいは短時間で劇的に失われることになります。焼き上がりの際にコーヒー豆に残されている水分量を非常に注意してコントロールしています。 料理の世界ではこれらの化学変化と失われる水分を食材・仕上がりによって、ごく普通に使いわけるものですが、分厚い鉄板(鉄のフライパン等)と微調整できる火(ガスレンジ・オーブン等)はこの二つの化学反応を上手にコントロールするのに非常に重要な働きをします。

私はコーヒーの焙煎をこういったキッチン作業の延長線上で理解し、焙煎環境を構築しています。 多くの焙煎所とパタゴニアの南で大きく違うのは、焙煎時間だと思います。 パタゴニアの南の焙煎は一般的な方法より長いのです。これは深煎りにするためではありません。火の熱を均一に分散・蓄熱できる分厚い鉄で、低温で焙煎するためです。メイラード反応とカラメル化、そして残される水分量を最重要視し、 またそれを現在の焙煎環境で安定的に実現するため、必然的に焙煎時間が長くなります。

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